乳癌死の大半はスクリーニングを受けていない女性

弥永協立病院スタッフ

2009年10月27日 13:20

ロイターヘルス発  By Anthony J. Brown, MD


ニューヨーク(ロイターヘルス) - 乳癌による死亡の約3/4は、定期的なスクリーニングを受けていない女性に生じるため、定期的にマンモグラフィーによる検査を受けることが、死亡の抑制に重要であることが、大規模な集団ベース試験から得られた所見により示されている。

本研究所見は、火曜日、サンフランシスコで今週の後半に開催予定の2009年Breast Cancer Symposiumの記者会見で発表された。

複数の無作為化試験からマンモグラフィーによるスクリーニングが乳癌死を有意に低下させることが示唆されているが、スクリーニングが大規模な一般集団における乳癌死に与える影響については不明であった、と主任著者であるCambridge Hospital Breast Center(マサチューセッツ州)のDr. Blake Cadyは出席者に述べた。

この新規研究は、1990年~1999年にマサチューセッツ州内で浸潤性乳癌と診断された女性患者6,997名を対象として実施された。これらの女性の追跡調査は2007年までおこなわれ、乳癌死は入院記録および外来診察記録のレビューにより確認された。マサチューセッツ州の1995年のマンモグラフィー検査の受診率はBehavioral Risk Factor Surveillance Systemから入手した。

定期的なスクリーニングの定義は、無症状の女性において2年以内の間隔で2回以上受診したマンモグラフィーによるスクリーニングとした。

12.5年(中央値)の追跡期間中、461件の乳癌死が確認された。このうち74.8%はマンモグラフィーによる定期的なスクリーニングを受診していなかった女性、25.2%は定期的なスクリーニングを受診していた女性に生じていた。

1995年には、マサチューセッツ州の40歳以上の女性のうち、約80%が過去2年間にマンモグラフィー検査を受診していた。したがって、乳癌死の75%は定期的なスクリーニングを受診していなかった20%の女性に生じた、と同研究者らは指摘している。

2009年に乳癌と診断された女性192,740名における13年死亡率を15%と推定すると、乳癌死亡率は、定期的なスクリーニング受診患者では5%、非受診患者では56%となり、これはマンモグラフィー検査の導入以前に認められた死亡率と同等である、と同研究者らは算出している。

「乳癌死を回避するための最も有効な方法は、定期的なマンモグラフィー検査の受診である」とDr. Cadyは結論付けた。




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