食事鉄と貯蔵鉄が乳癌に関連

弥永協立病院スタッフ

2009年09月23日 10:00

2009-08-18 18:37:16 -0400 (ロイターヘルス)発

ニューヨーク(ロイターヘルス)- 食事鉄と貯蔵鉄は、線維嚢胞性疾患および乳癌と有意に関連している、とする報告がInternational Journal of Cancer誌9月号に掲載された。

筆頭著者でOregon Health and Sciences University(ポートランド)のDr. Amber B. Mooreは、これまでの疫学研究の大半では、鉄分摂取と乳癌には関連性がないことが示されてきたが、良性乳房疾患を有する患者の乳房組織中の鉄濃度の上昇がみられる場合は、のちに乳癌を発症するリスクが高いことが示された、と指摘している。

著者らは、食事鉄の摂取による血漿中のフェリチンと、増殖性および非増殖性の線維嚢胞性変化リスクや乳癌リスクの可能性のある関連性を評価するために、中国上海において、乳房自己検査試験の対象であった女性にコホート内登録を行い、患者対照研究を実施した。研究者らによると、中国では洋食が増えるにしたがって、乳癌の発症率も上昇してきたという。

この試験では、乳癌患者248名、線維嚢胞性変化を呈する患者346名と、対照者1,040名を対象とした。線維嚢胞性変化を呈する患者346名のうち、158名が非増殖性の変化であった。

血漿中フェリチン値が高い患者は、非増殖性の線維嚢胞性変化を有する可能性が有意に高かった(最高四分位対最低四分位のオッズ比2.51、p=0.04)。同様の関連性が血漿中フェリチン値と、増殖性変化や、線維嚢胞性の全症状のほか、乳癌でもみられたが、いずれも統計学的に有意ではなかった。

乳癌患者および線維嚢胞性変化を呈する患者を合わせた合同群を、対照群と比較した場合、食事鉄はどちらの病態リスクとも関連していなかった。

しかし、非増殖性の線維嚢胞性変化を呈する患者のサブセットにおいて、鉄分摂取の最高四分位の患者は、癌の発症リスクが有意に高かった(最高四分位対最低四分位のオッズ比2.63、p=0.02)。

「要約すれば、血漿中フェリチン値で測定したところ、鉄貯蔵は乳腺上皮における線維嚢胞性変化のリスクを高める可能性があり、食事鉄の摂取によって...、この病変が乳癌へと進行するリスクが増大すると考えられる」と研究者らは記している。


Int J Cancer 2009;125:1110-1117.

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