乳癌の腹膜転移は予後不良のシグナル

2009年09月25日

2009-08-25 8:50:43 -0400 (ロイターヘルス)発

ニューヨーク(ロイターヘルス) - 乳癌腹膜転移患者の生存期間の中央値は「驚くほど短く」、6ヶ月以上生存する患者はほんの一握りであることを新たな研究は示している。

「このような進行癌の患者は、再発する癌性腹水を除去するために、頻回入院が必要となることが多い」とImperial College Healthcare NHS Trust(ロンドン)のDr. Justin Stebbingらは報告している。

こうした患者の管理と予後に関する情報は「乏しい」と研究者らは語っている。しかし彼らは自らの所見に基づいて、乳癌の腹膜転移は「予後が極めて不良であり、特異的な状態であること」を示唆している。

European Journal of Cancer 8月号に報告されているように、研究者らは乳癌からの腹膜転移が確認された44名の患者の転帰について再検討した。早期乳癌であった34名の患者に関しては、診断時の年齢中央値は50歳であり、腹膜転移が診断された時の年齢中央値は55歳であった。10名の患者はステージIVの乳癌であり、3名の患者にはその時点で既に腹膜転移があった。

組織検査では、77%に浸潤乳管癌を認め、16%に浸潤の小葉癌を認め、残り7%については癌のタイプを断定することができなかった。

患者は腹膜転移と診断される前に中央値で3回の化学療法と2回のホルモン治療を受けていた。診断後に、25名はさらに化学療法を受け、8名はセカンドライン、またはサードラインのホルモン治療を受けた。38名は、少なくとも1回の穿刺術を必要とした。

腹膜転移と診断されてからの生存期間中央値は1.56ヶ月であった、と著者らは報告している。ホルモン受容体陽性例も同様に生存期間が短かった。

研究者らは、最終的に有効な治療法を開発するためには、腹膜への乳癌細胞の播種を防止する分子経路を特定する必要があると考えている。

一方英国チームは、「追加的な積極治療を施行したにもかかわらず、転帰不良であった個人を、特にこうした患者集団を対象とした臨床試験に組み入れることは十分に価値があることである」と結論付けている。


Eur J Cancer 2009;45:2146-2149.

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Posted by 弥永協立病院スタッフ at 10:00│Comments(0)乳がん関連ニュース
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