ラパチニブは炎症性乳癌に活性を示す

2009年09月21日

2009-04-27 17:22:25 -0400 (ロイターヘルス)発

ニューヨーク(ロイターヘルス) - 上皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬であるラパチニブは、HER2過剰発現の認められる再発、あるいは難治性の炎症性乳癌に有効な治療薬である可能性がある、と新たな研究報告が示唆している。

ラパチニブに対して完全奏効を示した患者はいなかったが、39%の患者が部分奏効を示しており、また、皮膚障害の程度が50%軽減した。しかしながら、副作用はかなり頻繁に生じ、いくつかの致死的合併症は薬剤に関連している可能性があった。

The Lancet Oncology誌4月27日号オンライン版に掲載された研究報告によると、炎症性乳癌は非常に侵襲性の強い悪性腫瘍として知られ、初回化学療法に抵抗性を示した患者に対する治療の選択肢は限られている。

患者30名を対象にした以前の研究では、ラパチニブ治療に対する奏効率は50%であった、と主著者であるThe Chaim Sheba Medical Center(イスラエル テルハショメル)のDr. Bella Kaufmanらは述べている。ラパチニブの効果をよりよく評価するために、コホートを126名に拡大した。

第II相非盲検試験の被験者は、1日1回ラパチニブ1,500mgを投与された。固形癌の治療効果判定(RECIST)基準を用いて、皮膚障害に対する反応は4週間毎に評価し、また、局所進行または転移患部における反応は8週間毎に評価した。

無増悪生存期間および奏効期間の中央値は、それぞれ14.6週と20.9週であった。トラスツズマブによる先行治療は、ラパチニブ反応の可能性に影響を及ぼさなかった。

治療期間中に92%の患者に、有害イベントが1回以上発生した。約1/3の患者に重篤なイベント(ほとんどが呼吸困難および胸水)が発生した。患者5名が薬剤関連の可能性がある有害イベントにより死亡した。

「ラパチニブによる単剤療法は、複数の前治療歴のあるHER2陽性の炎症性乳癌患者に対して、臨床的に有効である可能性がある。これらの治療抵抗性患者において示された奏効率や奏効期間、および全生存期間の中央値は、ラパチニブの役割を裏付けるものである」と著者らは結論付けている。


Lancet Oncol 2009.


同じカテゴリー(乳がん関連ニュース)の記事
 乳癌死の大半はスクリーニングを受けていない女性 (2009-10-27 13:20)
 肥満、喫煙およびアルコールは二次乳癌のリスクを増大 (2009-09-28 12:56)
 乳癌の腹膜転移は予後不良のシグナル (2009-09-25 10:00)
 乳癌で骨量減少の二次的原因が見逃されている可能性 (2009-09-24 10:00)
 食事鉄と貯蔵鉄が乳癌に関連 (2009-09-23 10:00)
 乳癌に対するアントラサイクリン治療反応に関係する遺伝子変化 (2009-09-22 10:00)

Posted by 弥永協立病院スタッフ at 10:00│Comments(0)乳がん関連ニュース
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。